名取市における東日本大震災の記録

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地震の状況

第1節 地震の概要

 平成23(2011)年3月11日14時46分に、三陸沖を震源とする国内観測史上最大のマグニチュード9.0の超巨大地震が発生した。
 この地震により、宮城県栗原市で震度7、宮城県の石巻市、大崎市、仙台市、名取市など宮城県、福島県、茨城県、栃木県の4県37市町で震度6強を観測したほか、東北地方を中心に、北海道から九州地方にかけて震度6弱~1を観測した(図1、表1)。
 また、この地震に伴い東北地方から関東地方北部の太平洋側を中心に、北海道から沖縄にかけての広い範囲で津波を観測した(表2、図2・3)。
 本震の発生後も、東日本の太平洋岸を中心に強い余震が続いた(図7・8、表3)。
 特に、4月7日に発生した宮城県沖を震源とするマグニチュード7.2の余震は、仙台市・栗原市で震度6強、名取市でも震度6弱を観測し、被害に追い打ちをかける結果となった。
 余震を含めて、東北地方から関東地方までの、震度5強以上を観測した地域を中心に、広範囲で液状化が確認されており、特に関東地方の埋め立て地で顕著であった。
 また、この一連の地震により、特に沿岸部の広範囲にわたり、地盤沈下が起き深刻な被害をもたらしている。
 気象庁は3月11日14時46分発生の地震を「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名した。
 また、この地震による災害については「東日本大震災」と呼ぶことが閣議決定された。

1.地震の発生

発生日時:平成23年(2011年)3月11日(金)14時46分
発生場所:北緯38度06.2分・東経142度51.6分
(震源位置)              三陸沖(牡鹿半島の東南東約130㎞)
震源の深さ:24㎞
規模:モーメントマグニチュード9.0
津波:あり
震度:最大震度 震度7(宮城県栗原市)
   名取市の震度 震度6強
発震機構:西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界の広い範囲で破壊が起きたことにより発生した地震。
地震名:「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(3月11日気象庁命名)
震災の呼称:東日本大震災(平成23年4月1日持ち回り閣議で決定)

2.地震の特徴

 この地震が、国内観測史上最大規模の巨大地震であり、巨大な津波を伴い、余震を含む地震動と津波により、史上最悪と言えるほどの被害をもたらした。
 本震による揺れの特徴としては、広範囲で強い揺れに見舞われたこと、揺れの継続時間が長かったこと、長周期地震動が広範囲で長時間発生したこと、家屋被害をもたらすような周期の揺れは比較的小さかったことが挙げられる。
 揺れの継続時間は、仙台市で約3分間という長時間であった。
 本震後も大きな余震が頻発し、余震の回数は過去最高である。

図1:各地の震度(気象庁作成)

図1:震度分布図-気象庁

表1:各地の震度(本震、震度6弱以上)(消防庁災害対策本部まとめ)

震度 県:市町村名
宮城県:栗原市
6強 宮城県:涌谷町、登米市、美里町、大崎市、名取市、蔵王町、川崎町
     山元町、仙台市、石巻市、塩竈市、東松島市、大衡村
福島県:白河市、須賀川市、国見町、鏡石町、天栄村、楢葉町
     富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、新地町
茨城県:日立市、高萩市、笠間市、常陸大宮市、那珂市、筑西市
     鉾田市、小美玉市
栃木県:大田原市、宇都宮市、真岡市、市貝町、高根沢町
6弱 岩手県:大船渡市、釜石市、滝沢村、矢巾町、花巻市、一関市、
     奥州市、藤沢町
宮城県:気仙沼市、南三陸町、白石市、角田市、岩沼市、大河原町、
     亘理町、松島町、利府町、大和町、大郷町、富谷町
福島県:福島市、郡山市、二本松市、桑折町、川俣町、西郷村、
     中島村、矢吹町、棚倉町、玉川村、浅川町、小野町、田村市
     伊達市、本宮市、いわき市、相馬市、広野町、川内村、
     飯舘村、南相馬市、猪苗代町
茨城県:水戸市、土浦市、石岡市、常総市、常陸太田市、北茨城市
     取手市、つくば市、ひたちなか市、鹿嶋市、潮来市、坂東市
     稲敷市、かすみがうら市、桜川市、行方市、つくばみらい市
     茨城町、城里町、東海村、美浦村
栃木県:那須町、那須塩原市、芳賀町、那須烏山市、那珂川町
群馬県:桐生市
埼玉県:宮代町
千葉県:成田市、印西市

第2節 津波の概要

 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」により、東北地方の太平洋沿岸をはじめとして全国の沿岸で津波が観測された。
 各地の津波観測施設では、福島県相馬で9.3m以上、宮城県石巻市鮎川で8.6m以上など、東日本の太平洋沿岸を中心に非常に高い津波を観測したほか、北海道から鹿児島県にかけての太平洋沿岸や小笠原諸島で1m以上の津波を観測した(表2、図2・3)。
 更に、津波観測施設およびその周辺地域において現地調査し、津波の痕跡の位置等をもとに津波の高さの推定を行った結果によると、地点によっては10mを越える津波の痕跡が確認されている。
 最大溯上高においては、岩手県宮古市で40.5mを記録するなど、過去の津波を上回る規模であった。
 浸水域面積は、宮城県が圧倒的に大きく、これは仙台平野を中心とした低地において広範囲に浸水したことによる(図4・5・6)。
 市町村単位では、宮城県と福島県北部に浸水面積・浸水率ともに大きい市区町村が集中し、浸水がもっとも著しい地域である(図4・6)。
 この地域は三陸海岸ほど浸水高が大きくないが、仙台平野を中心とした標高の低い平地が石巻市から南相馬市にかけて存在するため、津波が一旦遡上すると広範囲に内陸まで進入しやすいことを示している。ただし、浸水率の高い東松島市と塩竃市の間にある松島町と利府町では、低地が少ないこともあり浸水面積・浸水率ともに低い値である。
 今回の津波では、仙台湾以南の平野の標高5m以下の低地を中心として海岸線から最大約6 ㎞内陸まで津波が遡上(仙台市若林区)し、その後数週間は広域で水没する状況となり、地震に伴う地盤沈下等もあって、災害発生から2カ月が経過しても冠水が続いている状態であった。
 七北田川・名取川・阿武隈川では、低地の浸水よりもさらに遡上があり、名取川では河口から約8 ㎞上流の東北新幹線橋梁付近まで浸水域が達している。
 今回の災害の犠牲者のほとんどは津波によるもので、多くの人命が失われ、大量の家屋が流出し、東日本の太平洋沿岸各地で甚大な被害が発生した。

主な検潮所で観測した津波の観測値(6月10日21時00分現在)

・相馬 最大波 3月11日15時51分 9.3m以上※
・石巻市鮎川 最大波 3月11日15時26分 8.6m以上※
・宮古 最大波 3月11日15時26分 8.5m以上※
・大船渡 最大波 3月11日15時18分 8.0m以上※
・八戸 最大波 3月11日16時57分 4.2m以上※
・釜石 最大波 3月11日15時21分 4.2m以上※
・大洗 最大波 3月11日16時52分 4.0m
・えりも町庶野 最大波 3月11日15時44分 3.5m

※は、観測施設が津波により被害を受けたためデータを入手できない期間があり、後続の波でさらに高くなった可能性がある。(気象庁)

表2:日本国内の津波観測施設で観測された津波の観測値(気象庁発表のうち1m以上のものを抜粋)

都道府県 津波観測点名 第一波 最大の高さの波 所属
始まり 押し+
引き-
時刻 高さ
日時分 日時分
北海道 えりも町庶野 *3 11日15:20 -0.1 m 11日15:44 3.5 m 気象庁
根室市花咲 11日15:43 +286 cm 11日15:57 286 cm 気象庁
浦河     *3 11日15:20 -0.2 m 11日16:42 2.8 m 気象庁
十勝港    *1 11日15:27 -15 cm 11日15:57 276 cm以上 港湾局
浜中町霧多布港 11日15:29 -7 cm 11日22:19 257 cm 港湾局
苫小牧東港  *1 11日15:34 -29 cm 11日16:17 246 cm以上 港湾局
函館     *1 11日16:15 +183 cm 11日23:35 239 cm 気象庁
苫小牧西港 11日15:38 -22 cm 11日17:31 225 cm 港湾局
釧路 11日15:35 +206 cm 11日23:39 208 cm 気象庁
白老港    *7 11日15:36 -14 cm 11日16:02 173 cm以上 港湾局
渡島森港 11日-:- - 11日19:36 164 cm 港湾局
青森県 八戸    *1 *3 11日15:21 -0.7 m 11日16:57 4.2 m以上 気象庁
むつ市関根浜 11日15:30 -24 cm 11日18:16 279 cm 気象庁
岩手県 宮古  *1 *4 *5 11日15:01 -124 cm 11日15:26 8.5 m以上 気象庁
大船渡 *1 *3 *5 *6 11日14:- -1.0 m 11日15:18 8.0 m以上 気象庁
釜石  *1 *5 *6 11日14:- -119 cm 11日15:21 420 cm以上 海保庁
宮城県 石巻市鮎川
*1 *3 *5 *6
11日14:- - 11日15:26 8.6 m以上 気象庁
福島県 相馬 * 1 *3 *5 *6 11日14:- -1.2 m 11日15:51 9.3 m以上 気象庁
いわき市小名浜 *5 11日15:08 +260 cm 11日15:39 333 cm 気象庁
茨城県 大洗     *3 11日15:17 +1.7 m 11日16:52 4.0 m 気象庁
千葉県 銚子    *3 *5 11日15:13 +2.3 m 11日17:22 2.5 m 気象庁
館山市布良 11日15:24 +142 cm 11日17:06 172 cm 気象庁
東京都 父島二見 11日16:11 +108 cm 11日16:46 182 cm 気象庁
東京晴海   *3 11日16:40 +0.8 m 11日19:16 1.5 m 気象庁
八丈島八重根 *3 11日15:42 +1.4 m 12日02:48 1.4 m 気象庁
八丈島神湊 11日15:35 +121 cm 11日15:45 121 cm 海保庁
神奈川県 横浜 11日16:10 +82 cm 11日17:38 155 cm 海保庁
横須賀 11日15:54 +83 cm 11日17:17 136 cm 海保庁
静岡県 御前崎 11日16:03 +97 cm 11日17:19 144 cm 気象庁
沼津市内浦 11日16:03 +134 cm 11日16:16 134 cm 気象庁
愛知県 田原市赤羽根 11日16:21 +107 cm 11日17:31 155 cm 気象庁
名古屋 11日17:46 +68 cm 11日19:36 105 cm 気象庁
三重県 鳥羽 11日16:33 +46 cm 11日19:14 182 cm 気象庁
尾鷲 11日16:17 +106 cm 11日17:13 175 cm 気象庁
和歌山県 串本町袋港 11日16:17 +66 cm 12日01:32 151 cm 気象庁
那智勝浦町浦神 11日16:14 +92 cm 11日18:06 124 cm 気象庁
白浜町堅田 11日16:34 +86 cm 12日00:35 113 cm 気象庁
御坊市祓井戸 11日16:36 +70 cm 11日17:57 109 cm 気象庁
徳島県 徳島由岐 11日16:37 +104 cm 11日20:28 115 cm 気象庁
高知県 須崎港 11日17:00 +146 cm 11日20:59 278 cm 港湾局
土佐清水 11日16:56 +92 cm 12日01:58 132 cm 気象庁
宮崎県 宮崎港 11日17:13 +134 cm 12日03:33 164 cm 港湾局
日南市油津 11日17:03 +103 cm 12日00:12 123 cm 気象庁
鹿児島県 種子島熊野 11日17:03 +80 cm 12日03:23 152 cm 気象庁
奄美市小湊 11日17:31 +102 cm 12日01:49 121 cm 気象庁
志布志港 11日17:19 +106 cm 11日17:38 106 cm 港湾局
津波の観測値は、観測された潮位のデータにバンドパスフィルターをかけ、その波形を用いて作成している。ただしデータが津波の立ち上がり直後に断になってしまった地点の高さについては、データの極値と推算潮位(実測の潮位で補正)の差で作成している
- は値が決定できないことを示す
*1 はデータを入手できない期間があったことを示す
*3 は巨大津波観測計により観測されたことを示す(観測精度は0.1m 単位)
*4 は第一波を潮位計、最大波を巨大津波観測計により観測されたことを示す
*5 は地盤沈下の影響で、第1 波の読み取り値が不正確である可能性があることを示す
*6 は地震の揺れにより生じた潮位の変動等のため、潮位データからは津波の第一波の始まりの時刻が特定できなかったもの。
一方、今回の地震の発生後、岩手県~千葉県の太平洋沿岸で1.2m から0.1m 程度の沈降があったことが推定されており(国土地理院の地殻変動調査による)、これらの沿岸付近は波源域に含まれていたことが推測される。
*7 はデータが頭打ちになっていることを示す

図2:津波観測施設で観測された津波の高さ(気象庁作成2011.8.12)

図2:津波観測状況-気象庁

矢印は、津波観測施設が津波により被害を受けたためデータを入手できない期間があり、後続の波でさらに高くなった可能性があることを示す。
観測施設には、内閣府、国土交通省港湾局、海上保安庁、国土地理院、愛知県、四日市港管理組合、兵庫県、宮崎県、日本コークス工業株式会社の検潮所を含む。

図3:青森県三沢市~福島県相馬市各地の津波高浸水高(日本気象協会作成2011.4.22)

図3:各地の津波高・浸水高

図4:東日本大震災の津波による市区町村別浸水面積(国土地理院作成2011.3.28)

図4:津波による市区町村別浸水域面積

図5:県別浸水面積

図5:県別浸水面積

(日本気象協会作成)

図6:各市町村の浸水面積(国土地理院作成)

図6:各市町村の浸水面積

第3節 余震の状況

 余震は、岩手県沖から茨城県沖にかけて、震源域に対応する長さ約500km、幅約200kmの範囲に密集して発生しているほか、震源域に近い海溝軸の東側でも発生している。
 特に、福島県から茨城県の陸域の浅い場所では、M7.0の地震が発生し、M4~M5程度の地震(震度3~4)も多発するなど、活発な活動が見られる(図7・8、表3)。
 3月11日14時46分に発生した本震に続いて、同日15時8分には岩手県沖でM7.4八戸市・盛岡市で最大震度5弱や、同日15時15分に茨城県沖で発生したM7.6の最大余震では茨城県鉾田市で最大震度6強を観測、4月7日23時32分に宮城県沖で発生したM7.2の余震では仙台市・栗原市で最大震度6強を観測、4月11日17時16分に福島県浜通りで発生した M7.0の余震では、いわき市・鉾田市で最大震度6弱を観測、4月12日14時07分に福島県中通りで発生した M6.4の余震では、いわき市・北茨木市で最大震度6弱を観測するなど、本震直後から4月にかけて震度5以上の大きな余震が頻発している。
 更に、5月以降も発生回数は減少してきているが、震度5以上の余震が発生している。
 これまでに発生した余震は、最大震度6強が2回、最大震度6弱が2回、最大震度5強が10回、最大震度5弱が30回、最大震度4が175回である(平成24年1月10日12時現在)。
 なお、余震による30cmを超える津波は発生していない。

図7:余震の発生状況(気象庁作成)

震央分布図
(2011年3月11日12時00分~2012年1月10日12時00分、深さ90km以浅、M≧5.0)
丸の大きさはマグニチュードの大きさを表す。
M7.0 以上の地震に吹き出しをつけている。

図7:余震活動の領域-気象庁

図8:東北地方太平洋沖地震 震度4以上の発生状況(気象庁作成)

図8:震度4以上のグラフ-気象庁

表3:震度4以上の最大震度別地震回数表(本震含む、気象庁作成)

表3:震度4以上の最大震度別地震回数表

図9:津波の高さの定義(気象庁作成)

津波の高さの定義

海面の高さには、気象庁で基準としている「平常潮位(津波到達時天文潮位:TT)」の他に「平均海面(MSL)」と「標高0m(TP:東京湾平均海面)」があり、また、計測事の潮位を基準にする場合もあり、調査機関によりどれを基準としているか注意する必要がある。

第4節 気象庁の措置

14:46
 18.1秒
地震発生
14:46
 48.8秒
緊急地震速報(警報)を発表 地震波検知から8.6秒後の発表
警報発表地域は、宮城県中部・北部、岩手県沿岸南部・内陸南部・
沿岸北部、宮城県南部、福島県浜通り・中通り、他4か所
14:48 震度速報発表(最大震度6強)
14:49 震度速報発表(最大震度7)
14:49 津波警報・注意報発表
津波警報(大津波)の発表地域は、岩手県、宮城県、福島県
津波警報(津波)の発表地域は、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸
茨城県、千葉県九十九里・外房、伊豆諸島
津波注意報の発表地域は、北海道太平洋沿岸東部・西部、青森県日本海沿岸
千葉県内房、他
14:50 津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報(情報第1号)発表
14:50 各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報(情報第2号)発表
14:53 地震情報(震源・震度に関する情報、各地の震度に関する情報)発表
震度7宮城県北部 、震度6強 宮城県南部ほか、以下震度6弱、5強、5弱の地域を発表
14:56 津波予報(津波に関するその他の情報)発表
14:59 津波観測に関する情報(情報第3号)発表
15:01 津波観測に関する情報(情報第4号)発表
15:10 津波観測に関する情報(情報第5号)発表
15:14 津波警報・注意報発表(追加・グレードアップ)
津波警報(津波)から津波警報(大津波)への切り替え 3か所
津波注意報から津波警報(津波)への切り替え 5か所
津波注意報の発表 13か所
15:14 津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報(情報第6号)発表
15:15 各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報(情報第7号)発表
15:17 津波観測に関する情報(情報第8号)発表
15:19 津波予報(津波に関するその他の情報)発表
15:25 津波観測に関する情報(情報第9号)発表
15:30 津波警報・注意報発表(追加・グレードアップ)
津波警報(津波)から津波警報(大津波)への切り替え 4か所
津波注意報から津波警報(津波)への切り替え 21か所
津波注意報の発表 9か所
15:31 津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報(情報第10号)発表
15:31 各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報(情報第11号)発表
15:32 津波観測に関する情報(情報第12号)発表
15:43 津波観測に関する情報(情報第13号)発表
15:49 津波観測に関する情報(情報第14号)発表
15:57 津波観測に関する情報(情報第15号)発表
16:00 地震情報(顕著な地震の震源要素更新のお知らせ)発表
    暫定震源切り替え(38°6.2′N 142°51.6′E 深さ24km M8.4 三陸沖)
16:08 津波警報・注意報発表(追加・グレードアップ)
津波警報(津波)から津波警報(大津波)への切り替え7か所
津波注意報から津波警報(津波)への切り替え2か所
津波注意報の発表8か所

第5節 被害の概要

 この東日本大震災では、死者16,131人、行方不明3,240人、負傷者5,994人、全壊家屋128,497棟など、千年に1度といわれるほどの甚大な被害を生じた(表4)。
 地震動により、家屋の被害や東日本の各地でライフラインや輸送ルートの社会基盤が大きな被害を受けた。
 更に、今回の被害の主な原因である津波では、北海道から茨城、千葉にかけての沿岸部の被害が大きく、ことに震源域に近かった岩手県・宮城県・福島県の3県に被害が集中しており、ところによっては高さ10mを超える巨大な津波が押し寄せ、家屋の流失、火災の発生、車両の流失が大規模に生じ、沿岸部が壊滅的な被害を受けた。
 名取市でも、沿岸部である閖上地区と下増田地区で、津波による被害が大きく、死者911人、住家被害13,991戸という、未曾有の被害をもたらした。
 また、東北地方において津波の被害が甚大である一方、関東地方においては地盤の液状化により大きな被害が発生しており、千葉県、茨城県、埼玉県、神奈川県合わせて約1万9千戸の住宅について、液状化による被害の報告がされている。(内閣府調べ5月18日時点)
 更に、福島県須賀川市では、藤沼貯水池(藤沼ダム)が決壊し、死者・行方不明者や家屋の流出などの被害が生じた。
 この地震と津波により、東京電力福島第一原子力発電所で、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故が起き、近隣の市町村では多数の住民が長期間の避難を余儀なくされている。

表4.被害の状況(消防庁災害対策本部まとめH24.1.13第143報より)

都道府県 人 的 被 害 住 家 被 害(棟) 火災
(件)
死者
(人)
行方
不明
負 傷 者(人) 全壊 半壊 一部
破損
床上
浸水
床下
浸水
  重症 軽傷 程度
不明
北海道 1   3   3     4 7 329 545  
青森県 3 1 61 16 45   311 853 121     5
岩手県 4,667 1,368 188     188 20,184 4,552 7,316 1,761 323 34
宮城県 9,472 1,805 4,015 436 3,505 74 84,062 136,712 212,974 7,900 11,299 135
秋田県     11 4 7       5     1
山形県 3   40 9 31     10 793      
福島県 1,925 63 181 20 161   19,781 61,925 142,166 1,053 340 11
茨城県 24 1 707 33 674   3,060 23,727 164,763 1,716 710 31
栃木県 4   132 7 125   265 2,070 68,648      
群馬県 1   41 14 27     7 17,051     2
埼玉県     104 10 94   22 192 15,710     12
千葉県 20 2 251 25 226   799 9,810 43,510 153 722 16
東京都 7   117 20 97   13 190 4,016     33
神奈川県 4   131 17 114     38 406     6
新潟県     3   3       9      
山梨県     2   2       4      
長野県     1   1              
静岡県     3 1 2           5  
三重県     1   1         2    
大阪府     1     1     3      
徳島県                   2 9  
高知県     1   1         2 8  
合 計 16,131 3,240 5,994 612 5,.119 263 128,497 240,090 677,502 12,918 13,961 286